神戸市が6月3日から開始した新たな取り組みが、注目を集めています。この事業は、葬儀や納骨の生前契約をサポートするもので、高齢化社会が進む中、急増する「引き取り手のない遺体」の問題に対応するために導入されました。
引き取り手のない遺体の急増
近年、1人暮らしの高齢者が増えたことで、身寄りのない遺体が急増しています。神戸市内には、約3000体の無縁遺骨が保管されており、その数はここ10年で約2.7倍に増加しました。これは、単身世帯の増加や高齢化社会が進む中で避けられない問題となっています。
神戸市の生前契約サポート事業の詳細
今回の新事業は、65歳以上で年収が230万円以下の人を対象に、葬儀や納骨について市が相談を受け付け、本人と葬儀会社が生前契約を結ぶものです。このサービスの特徴は、葬儀の宗派や納骨先の希望に応じる点で、費用は相場よりも安く、上限36万円に設定されています。
初日の反応
サービス開始初日の6月3日には、午前中だけで15件の電話相談があり、早速10件の予約が入りました。このことからも、多くの高齢者がこのサービスを必要としていることがわかります。
行政の負担を軽減
神戸市がこの新事業に乗り出した背景には、行政にかかる負担の増加があります。遺体の引き取り手が見つからない場合、火葬や親族探しにかかるコストや手間は莫大です。年間1000万円以上の費用がかかる中で、この新事業はその負担を軽減する手助けとなるでしょう。
無縁遺骨は神戸市だけの問題ではありません
この問題は全国的に広がっており、千葉県や名古屋市でも同様の状況が見られます。
千葉県の事例
千葉県では、身寄りのない高齢者や親族が関わりを拒否した人の遺骨が増え続けています。千葉県内のある寺院では、東京都内などの自治体から引き取り手のない遺骨を預かっており、2019年から預かり始めたその数は500を超えました。屋上倉庫や和室、押し入れなどに並べられた遺骨は年々増加しています。
千葉県市川市では、火葬後の遺骨を市内の倉庫に保管しており、市が保管する遺骨は160以上にのぼります。市川市の生活支援課では、親族への連絡や戸籍調査を行っていますが、疎遠や経済的な理由で引き取りを拒否されるケースが多いです。
名古屋市の事例
名古屋市でも、無縁遺骨が年々増加しており、2017年度には785体の無縁遺骨が確認されました。これは、中部九県の県庁所在地と政令指定都市・浜松市の計10市での合計1282体の中でも最多です。特に最近の5年間で増加率が大きくなっています。市は従来、無縁遺骨を専用の納骨堂に納めていましたが、収容数の増加により、一般向けの納骨堂を間借りして一部を保管しています。納骨から10年をめどに無縁墓に合葬する対応を取っています。
結論
神戸市の新たな取り組みは、身寄りのない高齢者に安心を提供し、行政の負担を軽減する画期的な施策です。この取り組みにより、救われる人が増え、多くの高齢者が尊厳を持って人生の最期を迎えることができるでしょう。しかし、無縁遺骨の問題は神戸市だけでなく、全国的に増加し続けています。
この問題に対処するためには、行政と民間団体、宗教法人が協力し合うことが不可欠です。私たち社会全体で、この問題に向き合い、支援を充実させていくことが求められています。弊社では月に1回以上ご供養やお墓の最新ニュースを読みやすくまとめています。これからもこの業界で仕事をしながら情報を提供していきます。何か不明な点やお墓についてご相談等ありましたらお気軽にご連絡ください。
引用元
・関西テレビニュース 「生前の葬儀予約や納骨手続きをサポート 神戸市が新事業 頼れる身寄りない人対象に 「墓友」も注目」
https://www.ktv.jp/news/articles/?id=12770
・一般社団法人恩送り 無縁遺骨の数・・・・ 「名古屋市の無縁遺骨」
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